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【茶碗坂】名前の由来や歴史をご紹介

【茶碗坂】名前の由来や歴史をご紹介

茶わん坂とは


「清水の舞台」で有名な、そして世界遺産でもある清水寺に行かれたことはありますか?行かれたことがある方はご存知だと思いますが、清水寺に至るまでの参道は坂道になっており、その坂にはそれぞれ名前がついています。例えば、もっとも有名な坂が「三年坂(産寧坂)」。次に「二年坂」です。清水寺に行かれたことのない方でもその名を知っているという人は多いのではないでしょうか。
そして、あまり知られていませんが、実は参拝者の過半数以上が当たり前のように通行している坂があります。その名は「清水坂」です。わずか200メートルほどの参道ですが、多くの人通り、大変賑わうところです。
そしてこれらの幾多ある坂のうちの一つの名前に「茶わん坂」があります。以下ではこの茶わん坂の意味や由来について述べていきます。

「茶わん坂」という名前の意味や由来を話す前にまず「茶わん坂」という名前が付けられた経緯を話す必要があります。
「茶わん坂」という名前は、古くからあるわけではなく、実はごく最近1922年(大正11年)に付けられた名前です。
それ以前は「清水新道一丁目」などと、名称をつけることなくごく普通に呼ばれていました。大正時代に入ると人口増加に伴い、清水寺に参拝する人が増加し、清水寺に至るまでの商店街を盛り上がる運動が起こります。その運動の一つが「商店街に名前をつける」ことでした。
清水寺に至る参道には三年坂や五条坂、二年坂まであります。そこで考察されたのが「茶わん坂」のネーミングです。
昭和に入ると、日中戦争や太平洋戦争などの戦乱の時代となり、来訪する人出も減少しましたが、当時の清水寺の貫主「大西良慶和上」の指示もあり、現在のような景観を回復しています。
それ以前の茶わん坂の由緒は残念ながら不明ですが、元来この辺りは清水寺の門前町として、栄えていましたので、単に「清水寺の門前町」などと呼ばれていたと考えられています。ちなみに「門前町」とは寺院を中心として付近周辺が広がった町のことです。有名な寺院ともなると参拝する人が多いので、このような門前町が形成されていき、清水寺の場合はおおよそ戦国時代(室町時代末期))あたりから門前町が栄えはじめています。
門前町の代表例をあげると、神宮(伊勢)付近周辺の「おかげ横丁・おはらい町(山田門前町)」、奈良・東大寺、興福寺春日大社付近の「ならまち・きたまち(元興福寺門前町)」、長野・善光寺や東京・浅草の門前町も有名です。尚、豆知識として、室町時代末期を境として以降、江戸時代まで清水寺の門前町は茶処(茶屋)
が数多く登場し、最盛期には100店舗を越えたと伝えられています。清水寺の境内に茶屋が多いのは昔の名残だと言えます。

では、なぜ「茶わん坂」なの?ということになりますが、奈良時代より「清水新道一丁目」を含めた「清水坂」のあたりは「窯元(陶磁器を作る工房)」が軒を連ねていました。しかし1629年、清水寺の境内は大火事で焼失し、客足が一旦途絶えますが、その後すぐに将軍・徳川家光公によって1633年頃(慶長年間/江戸時代)から再建が開始されます。再建後の清水寺は以前にもまして賑わいをみせ、この賑わいに乗じて店の数も増加していきます。その店の中に自ら陶磁器を焼いて販売するものも出沒し、陶磁器販売で豪商になる人物も出てきました。その豪商に「茶碗屋久兵衛」という人物がいました。茶碗屋久兵衛は、五条坂を中心に店を展開し「金・赤・青」をそめ付け(色)を施した茶碗や陶磁器を販売します。後に茶碗屋久兵衛の茶碗や陶磁器は参拝客の間で人気となり、「清水焼」のネーミングが誕生することになります。もうお分かりかと思いますが、この茶碗屋久兵衛の名前の「茶碗屋」から「茶碗」をとって「茶碗坂」というネーミングが付けられています。ちなみに清水焼に関していえば、現在の茶わん坂や五条坂一帯の窯元だけでなく、山科区にある窯元「清水焼団地」で制作される焼き物も「清水焼」と呼ばれています。またこの五条坂・茶わん坂においては、東山にある清水焼発祥の地であり、弁慶と牛若丸が出会ったという五条大橋よりも東を五条坂、東大路通りから清水寺への参道を茶わん坂と呼びます。その茶わん坂に位置するのが「レンタル着物岡本・本店」があり、本家は創業天保元年(1830年)より続く「岡本織物店」です。現当主の岡本喜八は六代目。伝統を守りつつ現代にマッチしたオリジナル小物を創作し、現在も「古のれんの店」として全国各地のお客様からご愛顧を頂いております。西陣織の帯地から各種の小物、そして正倉院・法隆寺等に伝わる古代製の龍村美術織物製・創作織の数々を取り揃えているお店があるのもこの坂の魅力ではないでしょうか。

茶わん坂のイベント・年中行事のご紹介

・1月1日~7日
 初参り 
清水寺・地主神社などへの初詣
 たくさんの人で賑わいます。
・3月18日~24日(春分の日と前後3日)
 春のお彼岸 
大谷本廟(西大谷)へ
たくさんのお墓参りに来られます。
・3月11日~4月10日
 清水寺 
春の夜の特別拝観
 境内の桜が美しくライトアップされます。
午後6時30分~9時30分
・5月5日
 地主祭り 
地主神社のお祭りです。
茶わん坂の樽神興(たるみこし)が練り歩きます。
・8月7日~10日
 五条坂陶器まつり 
茶わん坂の西、五条坂に清水焼をはじめ、全国の陶器業者の露天
が立ち並びます。
・8月13日~16日
 孟蘭盆会 
大谷本廟(西大谷)へたくさんの方がお墓参りに来られます。
・8月14日~16日
 清水寺千日詣・宵まいり
 この日のお参りで千日詣ったのと同じご利益が授かれると言われ
ています。
・9月20日~26日(秋分の日と前後3日)
 秋のお彼岸 大谷本廟(西大谷)へ
 たくさんの方がお墓参りに来られます。
・11月11日~12月11日
 清水寺 
秋の夜の特別拝観
 紅葉のライトアップがとても美しいです。
 午後6時30分~午後9時30分
 
このように、一年を通じてたくさんのイベントがございますので、季節によって清水寺の境内の趣もさまざまに移ろうことにて、是非ともご参拝いただき、世界遺産である清水寺をご勘能くださいませ。

茶わん坂は一見閑静な坂ですが、このようにイベントや京焼、清水焼などの長い歴史と風土の中で、数多くの名工を輩出してきました。人間国宝近藤悠三記念館なども位置し、現在第一線で活躍中の美術工芸界をリードする作家たちが今日も活動の拠点としています。
 
ここ「茶わん坂」には京都の人達の美意識によって長い歴史とともに育まれた伝統工芸品である西陣織や京扇子、京菓子の老铺も軒を連ねるー方、モダンアートやファッショナブルなギャラリーも良く似合う街へと移り変わって来ています。
ぜひゆっくりと歩いてみてください。
きっと「茶わん坂」にしかない、「味・技・美・人」との素敵な出会いや楽しい発見をさせてくれることでしょう。

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