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着物で神社・お寺参拝のマナー完全ガイド|京都観光に役立つ豆知識

2025年10月23日

    ~京都で美しく、正しく神社・お寺を訪れるために~
    京都をはじめ、日本各地にある神社やお寺は、古くから人々の信仰と心のよりどころとして大切に守られてきました。
    鳥居や山門をくぐり、静かな参道を歩き、手水舎で身を清め、拝殿で手を合わせる――。
    そんなひとときを「着物姿」で過ごせたら、とても素敵だと思いませんか?

    「いつか着物でお参りしてみたかった」というお声もよくいただきます。
    そこで今回は、京都で着物レンタルを楽しみながら神社やお寺を訪れる方へ、
    知っておくと安心なマナーや心構えをご紹介します。

    着物姿での参拝を、より美しく、心豊かに楽しんでいただけますように。

    1) どんな着物を選べばいいの?

    神社は「神さまのいらっしゃる場所」です。
    まず大切なのは「敬う心」を持つこと。
    神社やお寺に向かう際は、できるだけ清潔で整った服装を心がけましょう。
    派手すぎる格好や露出の多い服装、帽子を被ったままの参拝は控えるのが礼儀です。
    着物は日本の伝統文化を大切にする装いとして最適ですが、神聖な場所にふさわしい品格を意識しましょう。
    色柄や帯結び、持ち物にも気を配ることで、落ち着いた印象を与え、より美しい参拝姿になります。

    【着物選び・身だしなみのポイント】
    1)派手すぎる柄や露出の多い着付けは避ける
     → 肩や胸元が大きく開かないように、衿元をきちんと合わせましょう。

    2)帯結びは控えめに
     → 大きく広がる華やかな文庫結びよりも、落ち着いた太鼓結びが上品です。

    3)足元は白足袋や肌色ストッキング系を
     → 素足や派手な靴下は避け、清潔感を大切に。

    4)バッグは小ぶりで清楚に
     → 金属チェーンやスパンコールなどの装飾が目立つものは控えましょう。

    5)アニマル柄は避ける
     → 神聖な場所では「殺生」を連想させる柄を避けるのがマナーです。

    2)着物で参拝する時の基本の心構え

    着物を着て神社やお寺を訪れる際は、「敬意」と「清浄」を意識することが大切です。
    神社や寺院は観光地である前に、“祈りの場”です。華やかな着物姿でも、
    心は静かに整えて参拝しましょう。

    【参拝時の基本マナー】
    1)大声で話さない・走らない
     → 境内では静かに歩き、周囲の人への配慮を忘れずに。
    2)写真撮影は周囲に配慮して
     → 特に本殿やご本尊の前は、撮影禁止の場合が多いので、看板や注意書きを確認しましょう。
    3)飲食・喫煙は境内の外で
     → 神聖な場所を清浄に保つためにも、境内での飲食や喫煙は控えましょう。

    3)参拝の流れ(神社の場合)身も心も清める儀式


    ✨神社での正しい参拝の流れ
    1)鳥居の前で一礼
    境内は神さまのいらっしゃる神聖な場所です。
    鳥居をくぐる前に軽く一礼し、感謝と敬意の気持ちを込めましょう。
    参道の中央は神さまの通り道とされるため、左右どちらかを通るのが礼儀です。

    2)手・口・心を清める
    参道の途中にある「手水舎(ちょうずや)」では、神前に立つ前に身を清めます。
    以下が正式な手順です。
    柄杓(ひしゃく)を右手で持ち、水をすくう。
    左手を清める。
    柄杓を左手に持ち替え、右手を清める。
    再び右手に持ち替え、左手に水を受けて口をすすぐ(柄杓を直接口につけない)。
    口をすすいだ後、もう一度左手を清める。
    最後に柄杓を立て、残った水で柄の部分を清めて元に戻す。
    この一連の動作で「身と心を清める」ことになります。
    焦らず、静かに行うことを心がけましょう。

    3)参拝
    賽銭箱の前に立ったら、まず軽く一礼します。
    鈴がある場合は鳴らして心を整え、お賽銭を静かに入れましょう。
    その後、「二拝二拍手一拝(にはい・にはくしゅ・いちはい)」の作法で祈ります。

    4)最後の一礼
    お参りを終えたら、再び軽く一礼してその場を離れます。
    鳥居を出るときも、振り返って一礼するとさらに丁寧です。

    4)参拝の流れ(お寺の場合)

    ✨お寺での参拝の流れ
    お寺は「礼拝」「感謝」「供養」の場です。
    神社とは作法が少し異なりますので、落ち着いた気持ちで丁寧にお参りしましょう。

    1)山門の前で合掌・一礼
    山門は仏さまの世界への入口です。
    くぐる前に軽く合掌し、一礼してから静かに境内へ入りましょう。

    2)手水舎で清める
    手水舎がある場合は、神社と同じ手順で手と口を清めます。
    身も心も整え、静かに本堂へ向かいます。

    3)本堂での礼拝
    本堂前に着いたら、お賽銭を静かに入れ、手を合わせて合掌します。
    神社と違い、拍手はしません。
    ご本尊に向かって「南無阿弥陀仏」や「南無観世音菩薩」などの念仏を心の中で唱えると丁寧です。

    4)退出時の礼
    お参りを終えたら、再び合掌・一礼をしてその場を離れます。
    境内を出るときも、静かに一礼して感謝の気持ちを込めましょう。

    5)写真撮影のマナー

    ✨写真撮影のマナー
    着物姿は美しく、つい写真を撮りたくなりますが、
    神社やお寺では信仰の場であることを忘れず、周囲への配慮を心がけましょう。

    【撮影時の注意点】
    1)本殿・ご本尊前、灯籠、供花など信仰対象を背景に入れない
     → 神聖な対象を背にしての撮影は控え、敬意を持って距離を保ちましょう。
    2)境内での自撮り棒や三脚は控える
     → 混雑時の危険防止や、他の参拝者への配慮のためにも使用を避けましょう。
    3)他の参拝客の迷惑にならない位置で静かに撮影
     → 通路をふさがないようにし、声をかけ合って譲り合う気持ちを大切にします。
    4)撮影後はその場で軽く礼をする
     → 「ありがとうございました」と小さくお辞儀をすることで、感謝と敬意の気持ちが伝わります。

    6)姿勢・所作

    ✨姿勢と立ち居振る舞い
    着物を着ていると、立ち姿や歩き方など、何気ない動作にも視線が集まります。
    所作を少し意識するだけで、より美しく、品のある印象になります。

    【美しく見える所作のポイント】
    1)歩幅は小さく、背筋を伸ばす
     → 歩幅を小さめにすると裾が乱れず、自然と姿勢も整います。
    2)手は前で軽く重ねる(腕を組まない)
     → 手先を揃えると上品に見え、写真映えもします。
    3)お辞儀は腰からゆっくりと(背中を丸めずに)
     → 丁寧な印象を与える美しいお辞儀です。
    4)階段では裾を軽く押さえる
     → 裾を踏まないように手で軽く押さえながら、ゆっくりと昇降します。

    7)季節と着物の選び方

    【季節別おすすめの着物】

    春:
    桜や花々を思わせる淡い色合いの小紋や訪問着がおすすめです。
    柔らかな色調が春の光によく映えます。

    夏:
    涼しげな透け感のある絽(ろ)や紗(しゃ)の着物、または浴衣が最適です。
    神社では浴衣でも問題ありませんが、寺院参拝の際は少し控えめな装いを心がけましょう。

    秋:
    紅葉の季節には、えんじ・深緑・茶など、落ち着いたシックなトーンの着物がよく似合います。
    帯や小物で金や橙を差し色にすると、秋らしい華やかさが加わります。

    冬:
    羽織やショールで防寒をしながらも、全体のバランスを意識して。
    ただし、毛皮系のアイテムは神社では「殺生」を連想させるため、避けるのが無難です。

    8) まとめ

    着物での参拝は、日本文化への敬意を形にする美しい行為です。
    大切なのは「服装の華やかさ」ではなく、「心の丁寧さ」。
    静かにお辞儀をし、ゆっくりと歩き、感謝の気持ちで手を合わせる――
    それこそが、京都の街並みに最も映える美しい“着物姿のマナー”です。
    とはいえ、最近では参拝スタイルも多様になり、自由な楽しみ方も増えています。
    そんな中でも、基本のマナーを少し意識するだけで、
    自分の所作や気持ちが自然と整い、より深く日本の文化を感じられるでしょう。

    ここで紹介したのは、あくまで基本的なマナーです。
    もちろん時代とともに参拝の形や着物の楽しみ方も変わっていきます。
    すべてを厳格に守る必要はありませんが、
    ほんの少し「相手を敬う心」や「場所への思いやり」を意識するだけで、
    自分の立ち居振る舞いがぐっと美しく見えるものです。
    自由に楽しみながらも、基本を知っている――
    それこそが、着物で京都を歩く人にふさわしい、さりげない品の良さではないでしょうか。

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    【 この記事の著者】
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