
特集・コラム

茶の湯 -京都で楽しむお茶の文化体験-

茶の湯とは
「茶の湯」とは、単にお茶を飲むための作法ではありません。
お茶を点て、客人をもてなし、心を通わせる——その一連の行いの中に、日本人の美意識と精神文化が凝縮されています。
一碗のお茶を通して大切にされるのは、もてなしの心と静寂の美(わび)。
華やかさよりも、簡素の中に宿る美しさを見出すことを重んじます。
茶室という限られた空間で、亭主と客が互いに心を開き、静かな時間を共有する——
そのひとときこそが、茶の湯の真髄です。
季節の移ろいや、茶器ひとつひとつの趣、掛け軸や花のあしらいにも、すべて「心を尽くす」という想いが込められています。
茶の湯は、日常の喧騒から離れ、自分と向き合う時間でもあり、人と人とを結ぶ温かな文化なのです。
茶道
茶の湯の形式を通して亭主が客人に精神性を伝え、また自己の精神の修養や修行を通して礼儀作法を極めること。
茶室の建築、茶道具の選定・お茶の点前・懐石料理などの様々な要素が組み合わさった総合芸術です。
茶事
茶道における食事(懐石)を伴った正式な「おもてなし」のことで、食事やお茶のお点前を含めたフルコース。
格式高い正式な茶会を指し、知っている者だけの少人数を招き4時間以上かけてゆっくりと行われる。
炭手前、懐石料理、お茶菓子、濃茶・薄茶という一連の進行を定められた茶の湯の法則に従って行うのが特徴。
茶会とは
茶会とは、茶の湯や茶道の精神に則って開かれるお茶を楽しむ集まりのことです。
単にお茶を飲む場ではなく、亭主(ていしゅ)が心を尽くして客人をもてなし、客もそのもてなしを受けて楽しむ――
その一連の時間全体が、茶会の醍醐味です。
茶会では、お茶の点前(てまえ)や茶菓子、茶器の取り合わせ、床の間のしつらえまで、すべてが一期一会(いちごいちえ)の精神に沿って行われます。
その場その時だけの出会いを大切にし、静けさや季節感、互いの心遣いを味わうのです。
また、茶会は単なる形式や作法にとどまらず、客人との交流や心の触れ合いを楽しむ場でもあります。
静かな茶室の中で、目の前の一碗のお茶を通して生まれる心のつながり――
それが茶会の最大の魅力であり、茶道の精神を日常の中で体験できる貴重な時間なのです。
京都観光でのお抹茶の楽しみ方

気軽に楽しむ「大寄せ茶会」
京都をはじめとする観光地で体験できるお茶会の多くは、「大寄せ茶会(おおよせちゃかい)」と呼ばれる形式です。
これは、不特定多数の方を招いて行う、比較的カジュアルなお茶会のこと。主に薄茶とお菓子が中心に振る舞われ、展示会や観光施設の催しと一緒に開催されることも多いため、所要時間も短めです。
初心者の方や観光の合間に体験するのにぴったりで、厳密な作法よりもお茶を楽しむことが第一。過度に心配する必要はありません。
ただ、少しだけ基本マナーを知っておくと、よりスムーズに楽しめます。例えば、隣の人への軽い挨拶や、茶碗の回し方など。
お茶席に必要な道具やお菓子はほとんど用意されているので、手ぶらで気軽に参加できるのも嬉しいポイントです。
京都観光の思い出に、心穏やかに一服のお茶を楽しんでみてはいかがでしょうか。

大寄せ茶会に似合う着物は?

大寄せ茶会では、室内はもちろん、外でお抹茶を楽しむ野点(のだて)も行われます。
いずれの場合も、多数の客が参加する比較的カジュアルな茶会なので、着物も気軽に楽しめるもので大丈夫です。
特におすすめは、全体に模様が繰り返し描かれた小紋。カジュアル過ぎず、でも可愛らしさを楽しめるので、学生さんや旅行中の体験にもぴったりです。
着物を着てお茶を楽しんだあとは、そのまま京都散策へ。歩きやすさを考えた着物なら、苦しくなく日常と少し違った気分を味わいながら、観光を満喫できます。
大寄せ茶会は、気負わずに着物で参加できるので、「着物を着る楽しさ」と「お茶を楽しむ時間」を同時に体験できる絶好のチャンスです。
少人数のお茶会で味わう、本格的な茶の時間

少人数で行われるお茶会は、亭主(主催者)との距離が近く、より格式高い雰囲気が特徴です。
お抹茶をいただきながら茶道の作法を学べるのはもちろん、お点前体験ができるプランでは、茶道における抹茶を点てる一連の所作を気軽に体験できます。
ただし、コースによっては数時間かかる場合もあるため、観光の予定に合わせて時間を調整すると安心です。
さらに本格的な体験としては、茶事と呼ばれる形式があります。
茶事では、懐石料理をいただき、濃茶・薄茶の両方を楽しむ正式な茶会の流れを体験できます。
少人数だからこそ感じられる、静かで深い時間の流れ――茶道の真髄に触れる贅沢なひとときです。
格のある茶会には 季節と品格を意識した着物で

少人数で行われる格式の高いお茶会では、大寄せ茶会とは異なり、品の良い落ち着いた雰囲気の着物を選ぶのがマナーです。
フォーマルシーンで着物を着る際は、白い半衿に白い足袋を合わせると、より凛とした印象になります。
茶の世界では季節感を大切にするため、着物の柄にも季節を意識すると風情が増します。
例えば、秋なら紅葉柄、冬なら雪の結晶柄といった具合です。
花を柄で表す場合は、見頃の1か月〜1か月半ほど前に着用するのが粋とされています。
訪問着を着用する場合は、色や柄は派手すぎず、帯や帯締めも控えめに。
茶室に入る前には必ず白い足袋を着用し、予備を持参しておくと安心です。
迷ったときのおすすめは、若草色・薄茶色・灰桜・藤色・紺・鼠色などの色無地に軽めの袋帯、あるいは江戸小紋に有職文様の名古屋帯など、フォーマルほどではないけれどきちんとした装い。
観光での茶会体験でも、少しだけ着物にこだわることで、より素敵で心に残る時間になります。
お茶会に持っていきたい3点セット

お茶会に出かけるとき、懐紙や黒文字(菓子切り・楊枝)を持っていくと、より茶の時間を楽しめます。
懐紙:お菓子を取るときの取り皿として使ったり、ティッシュ代わりに使ったりできる便利な紙です。男性用と女性用で大きさが異なるので注意しましょう。
黒文字:お菓子をいただくときに使います。
扇子:お茶席に入るときや亭主への挨拶の際に用いる小さな扇子です。広げて使うことはありませんが、かわいい柄やおしゃれな柄もたくさん揃っています。扇子も男女で大きさが異なります。
体験茶会では、懐紙や黒文字は用意されていることが多いですが、自分用に用意するのもおすすめです。
京都の和雑貨店では、可愛らしい懐紙や黒文字、扇子が揃うので、お土産や思い出の品として選ぶ楽しみもあります。
お気に入りの一品を準備して、茶会の時間をより特別なものにしてみてはいかがでしょうか。
知っておきたい お茶会の流れとマナー
待合で待機する
• 茶室に入る前に、亭主に呼ばれるのを待つ「待合」で待機
つくばい(手水)で手と口を清める
• 茶室に入る前に、蹲(つくばい)という石造りの手水場で手と口を清める
席に着き、亭主との会話を楽しむ
• お茶会では、亭主と正客(一番年上の客)との間で会話が始まり、正客以外は会話に加わらず、静かに聞くのがマナーとされています
お菓子をいただく
• 亭主から順番に回ってくるお菓子をいただく際には、隣の人に「お先に」と挨拶してからお菓子を取る
• お茶をいただく前に、お菓子は食べきるようにしましょう
お茶をいただく
• お茶を受け取ったら、亭主への感謝を込めて「お点前頂戴いたします」と述べます。
• 最後にお茶碗を見せていただく拝見(はいけん)を行い、飲み終わったらお茶碗に感謝の意を示して「ごちそうさまでした」と伝えます
その他
• 茶道の経験がない場合でも、場の空気を読みながら見様見真似で行動すれば問題ありませんし無理に難しい言葉やマナーを使う必要はありません
まとめ~着物で楽しむ茶の湯体験~
茶の湯体験は、着物を着ることでより特別な時間になります。
華やかさだけでなく、静かで落ち着いた空間の中で、季節や道具、亭主や客人とのやり取りをじっくり味わえるのが魅力です。
お気に入りの着物を身にまとい、懐紙や黒文字、扇子を手にする――
そうしたひとつひとつの所作が、茶の湯の世界をより豊かにしてくれます。
京都の茶室や観光地での茶の湯体験では、初心者でも気軽に楽しめるプランもたくさんあります。
着物を着て、ゆったりとした時間を味わいながら、心穏やかにお茶の一服を楽しんでみてください。
【この記事の著者】
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